特に、キャベツだという意見が多くみられます。
なぜでしょう。
また、いろいろなものを食べさせてみると食べる勢いに違いが見られ、嗜好があることがわかります。
なぜでしょう。
このあたりを栄養分析学の面から考えてみたいと思います。
下の表は、本やネットでカタツムリに与えていたのを見たことがある食べ物と、その栄養成分表です。
ぼくがよく与えるのは、キャベツ・葉だいこんです。
与えたことがあるのは、その他にきゅうり・なす・はくさい・バナナ・りんごです。
それぞれに栄養成分が違いますが、カタツムリに与えるということを考えた場合、二つだけ重要な栄養成分があります。
一つはカルシウム、、もう一つはたんぱく質です。
カルシウムは誰でも想像がつくように、殻を作るのに使われます。
砕いた卵の殻や貝がらを与えたほうが良いとよく言われるほど、カタツムリには必須の栄養成分です。
たんぱく質は体を作る役割の他に、粘液も作ります。
粘液をもって移動し、粘液をもって乾燥を防ぐカタツムリにとって、粘液を作る素となるたんぱく質は、非常に重要性の高い栄養成分と言えます。
これらのことを踏まえて上の表を見てみると、葉だいこんはかなりの優等生になります。サラダ菜もなかなかのものです。
おそらく一番メジャーだと思われるキャベツも、意外に多くのカルシウムを含んでおり、実は優等生であったことがわかります。
自分の飼育経験で、バナナやりんごを好んで食べる習性を確認しています。
この点については、栄養学というよりも生物の本能性の問題だと思われます。
生物は毒の味を不快に感じ、栄養のある味を快く感じるものです。
苦味は不快、甘みは快いのであれば、バナナやりんごはカタツムリにとっても快い味になるわけです。
実際、小さいつの(小触角)で臭いや味を感じることができるので、嗜好現象が現れるのは不思議ではないでしょう。
実際の食べ方の違いでも、この嗜好の差は出ます。
キャベツは、必要量を食べるだけに留まります。
葉だいこんは、わりと長時間食べ続けます。
バナナやりんごは、一日中食べてます。
空腹感や満腹感を超える"おいしい"という感情が、そこにはあるのかもしれません。
だとすれば、生き物に与える食べ物は単に命をつなぐだけの"えさ"ではなく、人と同じ次元の"食べ物"であるはずです。
命をつなぐだけの食糧供与は畜産の次元の話であり、愛情を持って育てる飼育というものは、相手の気持ちを考えられる余裕を持つことです。
だからこそ、たまにはおいしいものをあげたいと思い、きれいな環境を維持したいと思うのだと思います。
ただ、愛情余って偏食になって体調を崩して、結果的には死期を早めてしまうことのないようにしたいものです。
そのために、栄養成分について今回考えてみたわけです。