1cmにも満たない小さなオトシブミ。
この昆虫の生態を知るとき、昆虫の知能の高さを感じざるをえません。
こんな形の昆虫です。このときは飛び立つ瞬間だったため、羽根を広げかけています。
首が長いというか頭が細いというか、昆虫の中でもかなり特異な形状をしています。
このオトシブミは、葉っぱの折紙職人です。
要は、葉っぱの中に産卵するのですが、その過程が天才的です。
1.良さそうな葉っぱがあると、汚れてないか大きさはちょうどいいか、葉っぱの上を歩いて計測する。
2.折りやすいように適度にしおれさせるために、葉っぱの芯をガブリと噛むが切断はしない。
3.両端を測ったようにきれいに切る。
4.芯のところに移動して、しおれかけた葉っぱを左右の脚だけの力ではさんで、むんずと折り曲げる。
5.このころ、1個の卵を葉っぱに産む。
6.もどらないように、切り込みを入れて接着効果を出す。
7.丸める。しかしただ丸めるのではなく、もどらないように絶妙な切り込みと折り目を入れながら丸め込む。このあたりが高度な折紙技巧と似たものがある。
8.さらに丸め込んで、またもや絶妙な手法で接着効果を出して完成させる。
9.芯を切り落とし、地面に落下させる。
完成したものが、これです。
直径が1cmぐらい、長さが2cmぐらいの樽状のものが2個あります。
これ、1cmもない昆虫が作りましたw
左の樽状の上に、葉っぱが切られた跡が見えます。
切り口や折り目を上手に入れながら、あの細い脚だけでここまで折って丸めたのです。
キーを見ながらでないとキーボードを打てないぼくより高等ですw
この中で卵が孵化し、樽状の葉っぱを食べた幼虫は、この中でサナギになります。
そして羽化してこの中からようやく出てきます。
出てくるときに穴を力いっぱいあけて出てくるので、細い頭をしています。いわゆる千枚通しのようなもんでしょう。
さらに接写をしてみました。
端っこのところ、まさに折り込みながら丸めたようすがわかります。
いやはや、職人というものに人だ虫だの境界などありませんな。
オトシブミよ、あんたはすごいよ、ほんと。