これからの季節、夜になると自販機の明かりに集まる虫の中にフタスジモンカゲロウが必ずいます。
1〜1.5cmぐらいの透明な羽根の虫なので、見たことがある人も多いと思います。
森の妖精と呼ばれるほどの美形で、この写真を撮るときもしばし見とれてしまいました。
べっこう色を基調とした上品なコントラスト、羽根の大きさの違いの比率、羽根自体の形、尾の先にいくにしたがって角度を変える斜め模様、真っ黒くてまん丸な目、手袋をつけたような前脚、どこまでも伸びる尾の先端・・・、まさに妖精です。
幼虫は水中で暮らしますが、成虫になると1日から数日で死んでしまいます。その間は何も食べず、消化器官も持っていません。
交尾のためだけに水を抜け出し、羽根が生えるのです。
昆虫の変態とはそもそもこういうもので、目的を達成するために、ベストな姿に大変身するのです。
あまりにもかわいいので、ちょっとさわってみました。
そしたら尾の先を広げ、前脚も高く上げて威嚇してきました。
妖精さん、ごめんなさい。
それにしてもこの前脚、触角のように見えます。
常に前脚は上げており、地面につくことはありません。
4本の脚で歩行するという神ワザをやってのけます。さすがは、神に近い妖精です。
こうやって見ると、確かに脚なのです。
しかし、よく見てください。先の半分ぐらいに節がたくさん付いています。
これはすでに歩行のためのものではなく、何かを感じ取るセンサーの役目、つまり触角の機能を持っていることが考えられます。
小さくて黒い丸いものは何なんでしょうか、単眼でしょうか。
不思議というより、神秘的な生き物。感動モンです。
上から見ると、また違った雰囲気。
いろんな昆虫の一部分を集めて構成したようなアンバランスさ。
そのアンバランスを見事に組み合わせてバランスを取った完成度。
フタスジモンカゲロウ、昆虫界のアダムとイヴなのかもしれません。
自販機の明かりのところで出会ったら、殺さないで下さい。
1日から数日の命なのです。何が何でもその間に交尾しなければならないのです。まさに、命をかけて相手を探している最中なのです。
スーパーブレンドのボタンのところに止まっていたら、だまってマウンテンブレンドを買ってください。
高等生物なら、それぐらいはしてあげましょう。
自販機を埋め尽くすほど止まっていたら、ジュースはがまんしましょうw