庭のアケビが今年も実りました。
10個ぐらいもぎ取りましたが、まだたくさん枝についています。
完熟になると自然と実に亀裂が入り、中の甘いところが露出します。
そうなると、いろいろな生き物がこの実に集まります。
アリやカメムシはもちろん、ナメクジやワラジムシや鳥までやってきます。
ヒトが美味しいと思うものは他の生き物にとっても美味しいものであり、アケビの作戦勝ちとなります。
そんなわけで、亀裂が入る直前でもぎ取りました。
亀裂が入っていないやや紫がかったこの状態でもぎ取れれば、ヒトの勝ちです。完熟度99%です。
うっすら白い線が見えていますが、ここに亀裂が入ります。
皮が極度に薄くなっている部分であり、手で割るときはこの線に沿って割ります。
中は、こんなになっています。
黒い種子をゼリー状のものが包んでいます。
このゼリー状のものを食べます。
食べ方は、種ごとゼリー状のものを口に入れてあとで種を出します。
味は、ほんのり甘くてまったりとした味わいです。
がぶりと食べておなかいっぱいといったものではなく、自然の甘さを堪能するガムみたいなものと考えればいいと思います。
この実には、55個の種子が入っていました。
自然界では、鳥の胃の中に入って遠くに運ばれる種子です。
大昔の子どもたちは、山の中で山遊びをしてその場に実るアケビの実をおやつにしていたそうです。
甘いものを食べようとすればコンビニですぐに手に入る現代ですが、大昔は甘いものなど簡単には食べられませんでした。
そんな時代だからこそ、このほのかな甘さが貴重だったのかもしれません。
アケビはスーパーなどでも売っていることがありますので、機会があったら食べてみてください。
決しておいしいとは思わないでしょう。種だらけでなんだこりゃと思うでしょう。期待はずれで憤慨するかもしれません。
しかし、甘さをよく感じてみてください。
甘さを売り物にする果物とは違った、自然界の甘さがそこにあります。
ほのかにほんのりまったり甘い。
こんな味のするものは、なかなかありません。
甘さが強ければおいしいといった風潮がひろがり、トマトもイチゴもミカンも個性ある酸味が薄れ、みんな甘いだけの食べ物になってしまいました。
品種改良で作られた甘さではなく、水遣りを制限して作られた甘さでもなく、アケビの甘さは土が提供する甘さです。
スーパーで売られるアケビは、けっこうな値段がついています。
果物の中でも、高級な部類に入る価格帯です。
大昔の子どもたちにとって貴重だったアケビは、現代では別の意味で貴重になってしまったようです。