
コンクリートの壁面を黒いものが動いているので見てみると、クロヤマアリが同じクロヤマアリを運んでいました。
左側の個体が運んでいるほう、右側が運ばれているほうになります。くわえている場所はアゴ。運ばれているほうは、体を丸くしてじっとしています。
これはアリが巣の引越しをしている時に見られる光景で、左側の個体が普段地上に出てくる外遊係、右側が普段巣の中に閉じこもりっきりの育児係です。
育児係の個体は育児専門なので、巣の中の幼虫やマユのそばを離れません。しかし、引越し過程では新居と旧居の両方に幼虫やマユが存在する瞬間があるため、新居に運ばれた幼虫やマユの世話もしなければなりません。そのため、半ば強制的に育児係の個体が運ばれると言われています。
アリの出発点と到着点を調べてみましたが、旧居と新居は10mぐらい離れていました。旧居のそばは最近土が盛られ、振動や地温の変化を嫌ったか、水の流れ込みのようなことがあったのかもしれません。
新居はすでに立派な入り口ができており、育児係が運ばれているということは幼虫などはすでに運ばれたと思われ、新居の中もほぼ最低限の部屋はできていると思います。
新居は家のすぐ目の前。観察しやすいところに引越してくれました。
ちなみに、飼育中のムネアカオオアリが巣を引っ越しする時にも、同じような光景が見られました。その時の動画です。