
この季節は活発に回遊する働きアリが多いので、巣が近いとしょっちゅうけんかしています。
この写真には4匹のクロヤマアリが写っており、真ん中にいる個体が9時と12時と3時の方向から攻撃を受けています。
状況は、真ん中の個体が左の個体のアゴを噛んで離さず、そこへ右の個体が来て脚を引っ張って応戦しているかんじです。上の個体は引っ張るところを探していると思われます。

アリの脚はバッタの後ろ脚のように単独で強い力を出さず、ふ節の爪を引っかけて押す引くの作用を得ることが多いはずです。唯一強い力を出せるのがアゴなので、まずここを押さえているのかもしれません。
通常の1対1のけんかでは早く急所を突いてとどめをさせばいいのですが、社会性が強い昆虫ですので仲間が来るのを待っている気もします。
最初に遭遇した個体はまずアゴを押さえ、その状態で動きを封じて仲間に脚を引っ張ってもらって体力を消耗させる、そんな戦闘方式かもしれません。
たまに激しく戦うけんかもあり、1対1で互いにかみ合うので双方がかなりの損傷を負います。負けたほうは腹部を付け根から食いちぎられることもあり、長くは生きられない体になってしまいます。
ただ、勝ったほうもそれなりの傷を負っており、こちらもまた長くは生きられないかもしれません。
両者で殺しあう消耗戦よりも安全に勝って確実に生き残る戦法、野戦ではこの戦法が多いです。巣穴の近くだと興奮度が違うので、がむしゃらに噛み合っているのも多く見かけます。
強い者が生き残るのは自然の摂理ですが、何をもって強いと成すか、そこは生き物によって様々な知恵がありそうです。