羽根を持つ胸板の厚いアリ、新女王アリは交尾を終えると地面に着地します。
これから巣穴を掘るのに邪魔になる羽根を、自ら切り落とします。羽根がねじれるような方向に力を入れ、ポキッと折るようなかんじで落とします。
この時期はこれをあちらこちらで見ます。
これは別個体になりますが、羽根を全部切り落とした状態。
たった一人で適した場所を探して、そこに巣穴を掘って産卵します。ほぼ同時期に別種類の結婚飛行も行われるので、無事に交尾を終えて地上に降りても、地上にはたくさんの困難が待ち受けています。
他の種類の新女王アリ、同種異種の死にかけたオスアリ、通常活動中の全種のアリ、特に結婚飛行が間近の巣穴付近には数百匹の監視アリがうごめいているので、その付近を通りかかっただけでもまず助かりません。
映画で言うと、膨大な数のゾンビの中を全力疾走で突き抜けながらいい場所に隠れ家を作るようなもので、まさに無謀。しかし、はるか昔から誰かが成功しているので今の今までアリが存在するわけです。
大量の新女王アリを放ち、さらにそれをはるかに超える数のオスアリを放ち、確率論を逆算して生き残りを確立しているわけです。