結婚飛行を終えて地面に着地した女王アリ。しかし、自然界の食物連鎖から解き放たれるわけではありません。
地面を目指して飛んできた女王アリは、こうしてクモの巣に引っ掛かることも多いです。カエルなどもそうですが、こうした"ボーナス"を得ながら食をつなぐ生き物もたくさんいます。
これはある意味貴重な写真。羽根の生えた女王アリの腹部には、交尾相手のオスの羽あり。その両者はすでに死んでおり、それをクロヤマアリがえさとして運んでいます。
たぶん、空中で交尾中にオスが抜けなくなったのだと思います。メスはそのまま地上に降りたはいいですが思うように動けず、そうしているうちにクロヤマアリの攻撃を受けて死に至ったのかもしれません。死因はもがいた疲労とクロヤマアリの蟻酸でしょうな。
この女王アリの腹内にある卵は、巣の中のクロヤマアリの幼虫にとっては貴重なタンパク源。また、クロヤマアリの女王アリにとっても動物性タンパク質は必須の栄養です。
食う食われる、生きる死ぬ、食物連鎖は時に残酷に見えることもありますが、その命自体は種を超えてつながっていくものでもあります。人間も牛や豚を食べますが、命をきちんとつなぐためにも残さず食べましょう。つか、食べてあげましょう。