2014年10月21日
葉を舐めるクロスズメバチ

スズメバチと言えば大きくて黄色いイメージがありますが、体長1cmちょっとの黒いスズメバチもいます。
クロスズメバチは土の中に巣を作るスズメバチで、毎年けっこう刺された記事が新聞にも載ります。


葉を舐めるクロスズメバチ

横から見ると、顔つきは完全にスズメバチ。キイロスズメバチほど凶暴ではないですが、巣を壊されたりするとさすがに襲ってきます。


葉を舐めるクロスズメバチ

このクロスズメバチが何でここにいるのかというと、葉っぱを舐めているのであります。
ここでハナアブが舐めていたのも同じ葉で、ここでセグロアシナガバチが舐めていたカエデの木は今回の葉に隣接しています。


葉を舐めるクロスズメバチ

葉はどことなくつやつやしており、少しだけべたつきがあります。近くで見ると、葉の表面から液体を滲ませているのがわかります。これを舐めていたわけです。
この葉は真っ赤で甘い実をつけるビックリグミという木の葉です。今の樹高はまだ1mぐらいですが、この葉っぱにはキンバエ系やヒラタアブ系や見たことの無いような小さなハチも多数集まってきており、花の蜜と同レベルの甘い液体だと思われます。

花も少なくなったこの時期に葉から甘い液体を出すと、花の蜜を頼っていたハナアブ達が集まります。
もしこれが自らの周辺に受粉のための生き物の生態系を作っている誘引行為だとすれば、まさにしてやったり。食べ物の少ないこの季節に毎年甘い蜜と日光浴場を提供しますよーと言えば、そんじゃここらに住んでみようかなと思うハナアブもいるかもしれません。ただ、そんじゃここらの地面に巣でも作ろうかなとクロスズメバチが思うのは勘弁。葉を食べる幼虫の数は減りそうですが、なんせ危険すぎる次第。

しかし、無防備でされるがままにされる弱い生き物を、人間は攻撃されないことをいいことに何でもやりたい放題です。
人間は高度な社会を築いているので、何かあったら動く警察組織を社会の中に持っています。もし警察組織が無いとすれば、何らかの自己防衛手段を持たないと生き残れないでしょう。
このクロスズメバチにとっては、毒針は警察組織のようなもの。自己防衛手段であったり食糧取得ツールでもあります。
毒針で刺すスズメバチもそれなりの理由があるわけで、しかもその理由は自分たちの命が危険にさらされるという大変深刻な状況から生まれるものが多いです。
血を吸う蚊も同様。健康な卵を作るためにちょっと栄養がほしいのであります。

これらは、なんだかんだ人間にとって危険であり迷惑です。しかし、悪ではありません。
人間も生き物を飼って乳をもらったり、殺して肉を食べたりしています。これも悪ではありません。
それぞれがその知能や生態の中で見つけた生きる策なんだと思うのであります。それらは時に衝突します。その衝突で命を奪われることもあります。しかし、それは地球自身の「生態」でもあるのかもしれません。

できるだけ注意を払い、相手が攻撃されたと思わないようにすることは重要だと思います。それには相手の生態も少しだけ知っておくのもいいかもしれません。
振動や風圧だけで命が危険と判断する生き物もいるかもしれません。色や匂いでそう思う者もいるでしょう。
それらの状況を回避するアイテムには、楯や矛の他に知識もあると思います。人間がもっと多くの知識を持つようになれば、昆虫との間に生まれる争いも減るかもしれません。

空であったり陸であったり海であったり、生き物はそれぞれに生きています。誰が偉いとか正しいとかではなく、みんなそれぞれが互いに接点をもちながらこの星で生きています。
兄弟と言えば語弊がありますが、友だちと言っても語弊があるかもしれません。まあ、地球の運命共同体という意味では仲間のようなもんでしょうな。
目の前で葉の蜜を舐めている毒針を持ったクロスズメバチ、この昆虫も仲間です。
posted by ぁぃ♂ | 岩手 ☀ | Comment(3) | 気まぐれ写真館 | 更新情報をチェックする
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