
当初は体がピンク色になってきたことを書く記事になるはずだったのですが、撮った写真をよく見ると白い楕円形の物体と茶色い染みが複数写っていました。
何だろうと思い、限界まで接写したのが以下の写真です。





ヤドリバエの卵です。体の表面に産み付けられています。
茶色くなっているのは幼虫の皮膚だけに収まらず、皮下組織まで及んでいます。これはすでにヤドリバエの幼虫がモモスズメの幼虫の体内に入ったか入り始めたことだと思います。

爪楊枝で除去を試みましたが、小さすぎて無理でした。卵に触れることはできたものの、粘着力が強くて剥がすことはできませんでした。

これは確保時の写真。同じところに白い点が見えます。すでに寄生されていたわけです。
この幼虫は最低でも4個の卵を産み付けられ、3か所が茶色くなっていました。
今後は前蛹になり、そしてサナギになっていくと思われますが、そのサナギから出てくるのはモモスズメではなくヤドリバエになることが確実になりました。
ある日突然サナギから寄生バエが出てくることは衝撃ですが、これからサナギになろうとしている幼虫の不幸な運命がわかってしまうことは、これはこれで耐え難いものがあります。
しかしながら、これも自然。ヤドリバエはこの厳しい自然の中で子孫を増やすことに成功したわけです。ヤドリバエの勝利です。
幼虫の大部分はこのように寄生されたり鳥に食べられたりで、成虫にまでなれるのは本当にごく少数です。幼虫単体で見れば悲劇ですが、食物連鎖の中では日常的かつ正常な現象でしかないのかもしれません。
この幼虫は最期まで観察したいと思います。ヤドリバエが出てくるのを確認することが供養につながると思う次第。