ただ、ピクンピクンしてたので、昼に帰ってきたときには羽化が完了してると思うので、昼に放そうかなと思っていました。
昼に帰ってくると、まだ羽化してませんでした。
そのまま見てると、目の前で羽化が始まりました。

サナギから出る瞬間の写真です。
前に羽化したアゲハは3分で出ましたが、10分経っても20分経っても抜け出せません。
このままでは、羽根を伸ばせずに失敗します。
アゲハもそれを知っているのか、暴れてもがきます。
何度も何度もくねくねし、激しく伸縮します。
そのとき、サナギを支えていた糸がはがれ、そして尾の部分の接着もはがれました。

上半身は出ましたが、下半身がまだ殻の中です。
下の羽根も、まだ殻の中です。
上に上に歩くアゲハ。しかし、下半身の殻もいっしょについてきます。
このままでは、羽根を広げられなくて死んでしまうアゲハ。
やってはいけないことかもしれませんが、殻を取ってあげることにしました。
しかし、許容範囲の力で引っぱっても取れません。
化粧箱(男性用)を取り出し、ピンセットとハサミで手術することにしました。
手術は成功し、殻は完全に取れました。
しかし、かなり長い間羽根が折りたたまれていたため、その後にうまく広がるかが心配でした。
また、もがいてかなりの体力を使ったと思うので、それも心配でした。
その後、午後の出社の時間になったので、出かけました。
午後8時10分帰宅。
そこには、可憐な羽根をくしゃくしゃにして動かなくなったアゲハがいました。
飼育は、時として残酷です。
しかし、これも含めて飼育です。
空よりももっと高いところを飛びたかったのかななどと、メルヘンなことは書きたくないですし、そういう人間本位の発想もしたくありません。
最後に出来ることは、土に埋葬してあげるという現実だけです。
人として、いやひとつの生命として
誕生の瞬間をよろこび
死の事実を悲しむのは
とても真摯的な姿だとおもいます
死を美辞麗句で飾らなかったぁぃさんは
とても純粋な人なのでしょうね
飼育というのは、たいていきちんとやることをやっていればうまくいくのですが、それを超える繊細さが変態にはあるのかもしれません。
丸いのが長くなって三角になって、しまいには羽根が生えるなんて、一生同じ形のまま大きくなるヒトから見れば、かなり驚異です。
何かに徹するから、こういう変態になるのでしょう。
食べるのに徹するから腸のような体になる、体を作り変えるのに徹するから食べず動かずで固まってしまう、子孫を作るのに徹するから相手を探すのに羽根が生える。
幼虫・サナギ・成虫の姿です。
その思いを、100年後の子どもたちも感じてくれればいいなと思います。