あれから数時間後、たったひとりで羽化しました。
五体満足で、無事に羽根も乾燥できました。
みずみずしく繊細、か弱く鮮明。
飼育の醍醐味は、この一瞬の姿を目の前にできることです。
これで全てのサナギの羽化が完了しました。
中には羽化できなかったサナギもいました。
サナギ時代にかじられたりして傷ついた個体の羽化率は、極めて低くなることもわかりました。
また、無傷のサナギでも羽化に失敗する個体もいました。
脚が1本無い個体、羽根をたためなかった個体、触角が癒着した個体。
昆虫の変態は想像以上に繊細で、この過程をすり抜けた者だけが成虫にまでなることができます。
大きくなる・形成する・交尾する、目的別に姿を変える変態という難易な手法を選んだ昆虫という生き物は、実は地球上で最も繁栄している生命体でもあります。
最後の蛹がやっと羽化しましたね。
やっぱりこれだけ数がいれば蛹の時に死ぬものや
羽化を失敗してしまった固体もいるのですね。
生き物は姿を変えるには大変な過程です。
その中でも強い者だけが生き残る・・・
虫の世界も厳しいものです。
この数字は、幼虫にかじられなければもっと低くなったはずですが、自然界ではもっと高くなったかもしれません。
どこにでもいるアリに見つかれば、当然運ばれるでしょうし、見つからない可能性も極めて低いと思われます。
だからいっぱい卵も産むんでしょうね。