2005年9月、庭で見つけた5匹のカタツムリ。
直径1cmぐらいの子どもだったので、飼ってみようと思いました。
あれから2年8ヶ月、あのときから飼いはじめた最後の個体の姫が、静かに★になりました。
直径4cmほどまでに生長した姫は、貫禄さえありました。
年輪のように刻まれた1本1本が、そのまま姫の生長記録です。
交尾相手となった野生ちゃんと、最期のお別れ。
カタツムリを飼いはじめて初めての冬に1匹が★になりましたが、その後4匹体制でしばらく飼育が続きました。
去年の今頃に3匹が交尾しあって産卵しましたが、姫だけは交尾せず、産卵も確認できませんでした。
生長し終わるのも姫が一番遅く、上限を超えてどんどん大きくなり、他の3匹の兄弟よりもひとまわり大きくなって、ようやく生長が止まって大人になりました。
3匹の兄弟たちが★になっていく中、途中参加した野生ちゃんと交尾し、野生ちゃんが産卵しました。
交尾後の姫は、急におとなしくなりました。
適齢期を過ぎての交尾で、体力をいっそう消耗したと思われます。
姫が★になっていた場所は、カットルボーンを入れているプラスチックのケースの中でした。
ちょうどカットルボーンの裏側になり、ひとりになれる空間です。
カタツムリが人になれることを教えてくれたのは、姫でした。
人を長時間観察し、ふたを開けるとよってくるその反応は、明らかに人を意識したものでした。
時にはカメラを意識して、ポーズをとってくれたこともありました。
初めてカタツムリを飼育し、その第1世代の最後の個体の姫が★になり、ここにひとつの季節が終わりました。
寿命が1年の昆虫ばかり飼ってきたので、こんなに長くいっしょにいたのは初めてでした。
そのおかげで、姫はたくさんのことを教えてくれました。
でも、そのおかげで寂しさもたくさんになりました。
飼育のすばらしさを教えてくれてありがとう。安らかに。