飼育ケースの中のミノウスバのマユから、2匹が羽化しました。
触角が羽根状になっていないので、どちらもメスのようです。
さっそくマユミの木に移してあげました。
さて、今回は抜け殻をじっくり見てみたいと思いますが、その前にミノウスバの生態の復習です。
ミノウスバの幼虫は、初夏にマユを作り、その中でサナギになります。
この時点で、マユの中にサナギがいるわけです。
そして秋になると、サナギから羽根の生えた成虫が羽化し、マユを突きやぶって外に出てきます。
この証拠が写真に写っていました。
今回羽化した2匹の抜け殻です。
楕円形のものがマユ、その先から飛び出ているのが、サナギのときの殻です。
マユを突き破った時点ではまだサナギの殻から完全に抜け出ておらず、マユの出口のところで完全に抜け出すと思われます。
サナギの殻を取って、よく見てみたいと思います。
これがサナギの殻です。
チョウやカブトムシのサナギを見たことがある方はわかると思いますが、何をどう見てもこれはサナギの殻です。
こちらが背中側です。
背中が割れているのがわかります。
マユの奥のほうに、何か黒いものかあるようです。
取り出してみました。
幼虫時代の頭の部分の抜け殻です。
幼虫からサナギになるときには、頭部の上部にM字の亀裂が入って出てきます。背中にも同時に裂け目が入ります。
写真ではM字のラインが上部に見えるので、ちょうど幼虫の頭を斜め上から見ているような角度での写真ということになります。
口元にはマユを作った時のなごりで、糸や液が付いています。
もしかしたら、幼虫の皮から抜け出やすいように、わざと接着剤の役目でくっつけていたのかもしれません。
狭い中での蛹化では、くっついていたほうが出てきやすいような気がします。
先ほどマユの中にはサナギがいると書きましたが、正確にはサナギと幼虫時代の頭部と皮があるわけです。
他の多くの昆虫と違って、敵を含む他の昆虫の数が減る秋に羽化し、すぐに交尾して産卵して死んでしまうミノウスバ。
敵の多い季節は、マユの中にじっとして隠れているミノウスバ。
これは身を守るための進化と言えるのかもしれません。
閉店間際の銭湯に行く感覚と似ていなくもないですがw